恋愛経験と記憶を活かす

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僕は今の経験と記憶を持ったまま、高校1年の入学式の日に戻った。

今なら好きだったあの子と恋人同士になれるかもしれないという期待に胸を膨らませて。

残念ながら高校生活を送るには、過干渉な母親や生意気な妹といっしょに生活というデメリットがあったが、今の経験があれば難なくこなせるだろうという自負もあった。

思えば、実際の高校1年の1学期も最初の一ヶ月は彼女と好い感じだったし、そこであとひと押ししていたらきっと……という思いはあった。けっきょく彼女は高校2年の秋にクラスメイトに取られてしまったのだが、今の僕なら大丈夫だという確信があった。

ゴールデンウィークに入る前になんとかしようと思ってタイミングを待っていた。自己アピールは充分にしたし、好感触は得ていた。

そしてその日、僕は思い切って告白した。

「大神くん、知ってる? わたし、恋愛経験豊富なんだ。」

なんと彼女も同類だったとは!
ファンタジー
公開:19/12/16 07:00
更新:19/12/15 23:37
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武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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