とっておきの見えないパンツ

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「わっ、なんでお前パンツはいてないんだよ!」
体育の授業の前、更衣室でシゲが叫ぶ。
「うわまじだ」
ノリも大声で騒ぐ。
「はいてるよ、見えないパンツをね」
「はあ?」
「今日は彼女とデートなんだ。見えないことは問題じゃない。大切なのはお互いを受け入れ合うことなんだ。彼女のいない君達には分からないだろうね」
男子校に入学して半年経つ。シゲとノリは何も言い返せない。
「彼女も今日ははいてこないよ。見えないパンツを脱がせる……想像力がかき立てられるだろう?自分好みのパンツを脱がせられるんだ」
更衣室の中がシーンとなった。
「だから、彼女にとってのとっておきの見えないパンツを僕もはいていくんだ。じゃ、着替えたから先に行くぜ」
ショウは更衣室をさっさと出ていった。
「つまりは、そういうプレイか」
「ただの変態だな」
「俺たち、普通だよな」
「ああ、間違いない」
2人とも本当はちょっと、羨ましかった。
青春
公開:19/12/15 20:03
更新:19/12/15 22:16

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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