廃都で逢いましょう

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廃都の裏側には美しい都が存在しているそうです。
「廃都に来てどれくらい経つんだい?」
髪も肌も瞳の色も廃都と同じ真っ白な少年に私は尋ねました。
「随分経つよ」
「都では逆のことが起こるって本当?」
「恐らく」
ここには少年と私しか人間は存在していません。彼の錆び付いたナイフは赤く染まっています。
「私は都で死んでここへ来た、と」
「貴方は還れるよ」
少年は私にナイフを突きつけます。
「待ってくれよ。それに君も都に逝きたいんじゃないのか?」
「誰にでも任せられる役目じゃないんだよ」
「おい、やめっ…!あ……」
私に刺さるはずのナイフは少年の腹に突き刺さりました。
春の都では長らく不妊治療を続けていた夫婦の元にひとつの命が宿りました。

「あの…ここは…?」
廃都に新しい人間がやってきました。あちらの都の名はチキュウだと少年は言っていました。雪に埋もれた王冠を拾い上げ、私はナイフを捨てました。
SF
公開:19/12/17 20:40
更新:19/12/17 22:59

菫永 園(すみなが えん)

書いたり喋ったりする金髪ギャルのひとです。時空モノガタリ出身。

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