発展途上のクローン技術

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私は部屋の片隅で泣いていた。生まれた時からずっと一緒だった猫のミケ。そのミケが死んでしまった。
悲しみに暮れ、食事も喉を通らない私を両親は心配した。
翌日、両親は私に「プレゼントだ」と言って大きな箱を渡してきた。
中を開けると猫が元気に飛び出してきた。この模様…この鳴き声…ミケだ!
驚く私に両親は教えてくれた。「これがクローン技術だ」
私はミケをそっと抱き上げる。
するとミケの下半身はずるりと落ち、ぼたぼたと中身が垂れてきた。
「ああ、やっぱりクローン技術はまだ完璧ではなかったか…」
父がため息を吐いた。あまりの光景に私は悲鳴を上げた。私の顎が落ちた。眼球が落ちた。皮膚が融け始めた。
「この子も失敗ね。記憶の刷り込みは上手くいったのに体が1週間で壊れたわ…まったく、いつになったら完璧なクローンが出来るのやら…」
母が落胆したように言った。
失敗作、と呼ばれた私とミケはゴミ箱へと捨てられた。
SF
公開:19/12/17 19:20

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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