ルーズな絵の具

誕生日おめでとうと。
ろくにラッピングもされてないプレゼント。
そもそも私の誕生日は先月だ。
両親が離婚したのは1歳の時で父親なんて最初からいなかった。
別にそれでも不自由はなかったけれど、いつからか時々会うことになった。
大人の事情と言うやつだ。

「・・絵の具？」

「ちょっと変わった絵の具だっていうから。」

もう１０歳なのにお絵かきに夢中だと思ってるんだろうか？
それでも目の前では喜んでみせて、またねと別れる。
絵の具よりはケーキの方が良かった。

・・なにこれ。
赤と書いてある絵の具のチューブから黄色。
青からは緑・・３色出るのまである。

「変わった絵の具どころか不良品じゃない。」

また騙されて・・馬鹿な人、とママは言う。
私もそう思う。
けれど。
いつかこんな風に適当に混ざり合えたらいい。
無理だろうけど。
分かってるけど。
でも子供っぽい夢を持ったっていいじゃない。