キャッサバな彼女

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熱の籠るコンクリートジャングルでは、皆オアシスを求め、必死に歩き続けている。私もそのうちの一人だ。

やかましい蝉の声と滴る汗に苛立ちつつも、ひたすらに歩くが、じわじわと身体から水分が抜けていくのが分かる。

ああ、もう倒れてしまいたい。そんな衝動に駆られ、ついうなだれてしまったが、ふと前を向くとオアシスが見えた。

遠くから来てほしそうに、”彼女”は私を見つめている。美しく、色鮮やかなボディに、私は吸い寄せられ、気が付けば彼女のもとにいた。

「さあ、私が癒してあげる」

”彼女”は、私の体を冷まし、その柔らかく、弾力のあるボディで癒しを与えてくれた。みるみるうちに疲れが取れていく。初めての感覚に戸惑ったが、すぐに私の体は”彼女”に委ねられた。

しかし、私を癒した”彼女”は、気が付けばいなくなっていた。深みがあり、どこか懐かしいあの香り。

「また飲もう。タピオカ抹茶ミルクティー」
その他
公開:19/10/07 22:06
更新:19/10/07 22:13

湯浅ムネミツ( 茨城県 )

スポンジになりたい社会人です。

なんでも吸収し、自分のものにしていきます。

衝撃を与えられても、壊れず、強く生きていき
ます。

皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

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