父とのゲーム

子供の頃、テレビゲームをほとんど買ってもらえなかった。唯一買ってもらえたのは父もやりたかった戦争シミュレーションゲームだった。子供の私には難しく、父がやるのを見て、別のセーブデータを作っては父がやっていた通りに真似してゲームを進めた。友達はみんな流行りのゲームを持っており私は話に入れなかった。

「あの時はゲームを買ってあげられなくてごめんな」

病室での言葉が忘れられない。
謝らなくていいよ。本当はすごい楽しかった。父がゲームをしているのを見るのが好きだった。流行りのゲームなんていらないから、父ともって一緒にいたかった。

「ねぇ、お父さん泣いてるの？ワガママ言ったから？ゲームは我慢するから泣かないで」

私を心配してゲームのおねだりを諦めた息子が言った。

「ごめん大丈夫だよ。ゲーム買ってあげるよ、でもお父さんも一緒にやるのが条件だ」

もう会えないあの日の父と私がいた。