ボトルシップ

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俺は手先の器用さを売りにボトルシップの製作・販売をやっている。が、売り上げは芳しくない…
瓶に入った船を見て凄いと人は言う。それで終わりだ。欲しいとは言わない。
親は「金にならないことは辞めて定職に就け」と激怒する。
その度に俺は酒を飲む。飲んで嫌な事は忘れよう。

その日の俺は酒の飲み方が悪かったようだ。酒の海に溺れる夢を見た。苦しい!助けてくれ!
その時だ。通りがかった船が俺を助けてくれた。ありがとう。夢とはいえ助かったよ。
しかしこの船、どこかで見たことがあるような…
「そりゃそうだ。こいつはアンタが作ったボトルシップさ。頑丈で酒なんかに負けやしない!」
乗組員はそう言って海から酒を汲んでは美味そうに飲んだ。

翌朝、目を覚ました俺はボトルシップの説明書きに『貴方が酒に溺れた時、この船が助けてくれます』と付け足した。
その日から多くの感謝の声と共に、ボトルシップは売れるようになった。
公開:19/10/07 18:57

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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