ドスえもん　その６

「どうしたドスえもん。いつにも増してブサイクな顔して」
「のぶん太か。実は、新しいブツを仕入れたんだがよ」
「ほう、どんなやつだ？」
「”余白を埋め尽くしたいサプリメント”ってんだがな、いい使い道が思いつかなくてよ」
「余白をねえ。受験生にでも売りつけたらどうだ？　嫌でも解答欄を埋めたくなるだろ」
「だがな、正解とは限らねえだろ。解答用紙が落書きだらけになる可能性もある」
「じゃあ、小説家や漫画家はどうだ。原稿が捗るんじゃねえのか」
「そいつはいいかもしれねえな。特に、〆切に追われてるときなんかはな」
「そうだな……。お、そうだ。ドスえもん、ちょいとタイム入れ墨をしてくれねえか」
「構わねえが、どうする気だ」
「ま、物は試しってね」
こうして、のぶん太は過去へと旅立っていった。

「狭すぎるな……。ここまでか」
「ちょいと邪魔するよ」
「ん？　何だね君は？」
「あんたがフェルマーさん？」