二又小道

6
10

私は幼少を過ごした故郷の田舎道を散歩していた。

まだあった。
散歩の途中に私は林へと入っていく小さな脇道を見つけた。仲良しだった女の子と学校の帰りによく寄り道した思い出の小道だ。入ってみるとそこは大人になった私には少し狭かった。

それでもなんとか進んでいくとやがて小道は二手に分かれる。

そう、ここだ。
当時の思い出が蘇る。私には仲の良かった女の子が実は二人いて、女の子ごとに右の道と左の道とを使い分けていたのだ。

二又小道。ふふっ、懐かしい。

おや?
しかしその場所には見覚えのない三つ目の道があった。三叉?私はついついそこへ足を踏み入れた。

瞬間、足元の地面が崩れた。落とし穴だ!

大人には少し小さな落とし穴には、古くてボロボロになった紙切れに鉛筆で文字が書かれていた。

【うわきものへ 新しい道と落とし穴のプレゼントよ ひがいしゃの会】

甘い思い出は苦いものへと上書きされた。
青春
公開:19/10/08 21:31
更新:19/10/08 21:32

よしお

400文字に収めるのに四苦八苦していますが、いろいろなジャンルにチャレンジしたいです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容