色彩の魔術師と失われた色_(拾肆)

密会の内容も輪をかけて衝撃的だった。

ルシファーの爪が国際テロ組織に認定され、物資の補給もままならない状況だったのを抜け道を作って便宜を図る代わりにバートン氏が魔術国際連盟長に選ばれるよう支援をする。
さらに投獄されている幹部たちを国宝級の魔術品と引き換えにひそかに脱獄させる。
などなど裏切り者という言葉すら生ぬるい内容がぽんぽんと飛び出してくる。

よくこんなものを撮影できたものだ。こうしたデータを残すには高度な魔術師が水晶か水晶状のものを媒体にして残すのが一般的だ。
堂々と撮るならまだしもこっそり撮るのはリスクが高い。

モノリスから叫び声がして思考を中断された。
「いたぞ！」
「逃がすな、殺せ！」
場面はめまぐるしく動き、映像を撮っている人物が必死で逃げているのがわかる。
矢や魔法が雨あられと降ってきて、血しぶきがあがる。
おびただしい血が流れる場面で映像がとぎれた。