グリーンフラッシュ

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その国は、武力を旨とする勢力に支配されていた。
言論や創作の自由は虐げられ、弱者は蔑ろにされる。圧政の下、民衆は苦しい生活を送っていた。

そんな折、ある一人の若い演説家が現れた。彼は街角で、自由の大切さを訴え続けた。
行政の執拗な妨害にも関わらず、彼を支持する人は、少しずつ増えていく。

そしてある日。町の隅の広場で、彼の演説を聞く人々から、大きな拍手が起こり、彼はゆっくりと手を振った。

すると不思議な事に、空の青さが一瞬、緑色にまたたき、町の景色がすべて青色がかって見えた。
交差点の信号すら、赤信号がすべて一瞬、青信号に変わった。幸い、大きな事故はどこにも起こらなかったが。

それ以来、国の軍事政権は徐々に力を失っていった。
そしてその若い演説家は、民衆の支持を集め、やがて国の指導者となった。

のちに人々はそれを、日の出の際に一瞬起こる「グリーンフラッシュ」だったのだ、と語った。
ファンタジー
公開:19/10/06 12:57

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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