長寿手当

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財政大臣の七福神太郎です。
この度、政府・与党は、我が国の超高齢化社会に鑑み、増税傾向にある財政を緊縮し、新たな財源を確保するとともに、六〇歳以降の長寿という節目を祝う「長寿手当」を公約どおり支給いたします。
具体的には、還暦を迎えられた国民に六万一千円、古希を迎えられた国民に七万円、喜寿を迎えられた国民に七万七千円、傘寿を迎えられた国民に八万円、米寿を迎えられた国民に八万八千円、卒寿を迎えられた国民に九万円、白寿を迎えられた国民に九万九千円、そして紀寿を迎えられた国民に一〇万円を、それぞれ支給いたします。
その代わりに、財政省の調査ですでに破綻が確定した年金制度は廃止いたしますので、ご了承ください。

野党からは「長寿手当はバラマキだ!」「長寿手当は弥縫策だ!」「長寿手当と年金制度の廃止はアメとムチだ!」と批判が噴出した。

近未来の日本の政治は、相変わらず国家百年の計と程遠いようだ。
その他
公開:19/10/06 11:04
更新:19/10/06 12:08
節目 長寿 手当 財政 年金制度 国家百年の計

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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