階段のきびだんご

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仕事帰りの深夜、マンションの階段を上っていると、5cmほどのきれいな和紙の包みを見つけた。中身はわかってる。きびだんごだ。

「また置いてある」そう思いながら包み拾う。

うちのマンションの階段には、毎日きびだんごが1個置いてある。拾っても拾っても、次の日にはまた置いてある。深夜0時になると、どこかの階の階段に置かれているのだ。
0時過ぎに帰るのはこのマンションじゃ俺くらいだ。
たまに気が付かずに踏んでしまうことがあるので気を付けている。

包みを開けて、白いきびだんごを口の中に放り込む。甘いこしあんの味が口の中に広がる。残業後の疲れた体にはありがたいが、毎日同じ味じゃ飽きる。

「ガリッ」

何か硬いものが歯にぶつかった。出してみると、それは直径1cmほどの金塊だった。俺はニヤリと笑った。明日もきびだんごを食べようと思う。
ミステリー・推理
公開:19/10/05 22:26
更新:19/10/05 22:27

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