飲酒

その日、岡田は同僚と飲み会を終え、無責任にも酔いがまわった状態で運転をしていた。

愉快に鼻歌を歌う。

そして、信号が赤にもかかわらず、通行し、通行人をはねのけた。

車のボンネットがへこみ、車体からは白い煙が噴き、目の前には、血だらけになった通行人が横たわっていた。

負傷者は、すぐに病院に搬送されたが、一命を取り留めることは出来なかった。

法廷にあらわれた岡田の背中を、遺族はにらみつけている。

「私の真弓をかえしてよ。あの子があなたに何をしたっていうの？あなたは真弓のためにも死んで償うべきよ」
遺族の母親は大声をあげて言った。

岡田はいたたまれない気持ちでいっぱいだった。

裁判官から懲役刑がいいわたされる。
母親は、泣きながら、膝から崩れ落ちる。

岡田は、法廷を去る時、小さな声で謝罪の言葉をのべた。