探し物探偵の仕事

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趣味で木彫りの像を彫っていると今日も俺の事務所に客が来た。
「御神体が盗まれたので探して欲しい」
お安い御用だ。何せ俺は人には見えないものが見える。俺は御神体の写真を見て、それが発するオーラを感じ取った。
簡単な依頼だったよ。犯人は依頼人の息子だった。
自分がどれだけ仕事で頑張っても親父は御神体にばかり礼を言い、俺を褒めてくれないと嘆いていた。どうでもいい。
それに大丈夫だ。お前の親父の会社はもう潰れる。お前が商売繁盛の神を外に連れ出したからだ。
俺は御神体に宿る神に語り掛けた。本当にこれでいいのか?
御神体に宿る神は言った。『あの会社は悪事に手を染め始めた。見切りをつけるにはいい頃合いだ』と。
御神体は俺の目の前で砕け散った。
焦ったのは息子だ。俺に縋り、何とかしてくれと懇願した。
仕方ないな…俺は趣味で作った木彫りの像を渡した。
これからはそいつに祈りを捧げ、真っ当な仕事をするんだな。
公開:19/10/06 18:43

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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