節目の挨拶
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「ええ本日、我々はこうして節目の時を迎えることとなりました」
厳かに始まった挨拶を、私は体育座りで聞いていた。
「ひとえに皆様の頑張りの賜物です。このように素晴らしい瞬間を迎えられたことを心より誇りに思います」
「ふあ、あ」
眠い。思わずあくびが漏れる。
挨拶はいつもこうだ。校長先生のお話も、大臣のスピーチも、聞いていると眠くなってしまう。
周りもすっかり眠ってしまっているようだ。皆頭をわずかに垂れて、身じろぎひとつしない。
「ああ、どうぞ楽にして」
挨拶の主が優しく語りかけてくる。その言葉に甘えて私は、少し目を閉じることにした。
「……おやすみなさい」
最後の聴衆が眠りに落ちたことを見届けて、神は挨拶をそう締めくくった。
滅亡という節目を迎えた蒼い惑星を、そっと手に包み込む。
「長い間、よく頑張りました」
崩れゆく小さな星。その勇姿を、神はいつまでも眺めているのだった。
厳かに始まった挨拶を、私は体育座りで聞いていた。
「ひとえに皆様の頑張りの賜物です。このように素晴らしい瞬間を迎えられたことを心より誇りに思います」
「ふあ、あ」
眠い。思わずあくびが漏れる。
挨拶はいつもこうだ。校長先生のお話も、大臣のスピーチも、聞いていると眠くなってしまう。
周りもすっかり眠ってしまっているようだ。皆頭をわずかに垂れて、身じろぎひとつしない。
「ああ、どうぞ楽にして」
挨拶の主が優しく語りかけてくる。その言葉に甘えて私は、少し目を閉じることにした。
「……おやすみなさい」
最後の聴衆が眠りに落ちたことを見届けて、神は挨拶をそう締めくくった。
滅亡という節目を迎えた蒼い惑星を、そっと手に包み込む。
「長い間、よく頑張りました」
崩れゆく小さな星。その勇姿を、神はいつまでも眺めているのだった。
SF
公開:19/10/06 14:48
更新:19/10/06 14:59
更新:19/10/06 14:59
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