隣の芝は青く見える

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「ここに映るんですね?」
僕は隣に立つ男に確認した。
「はい。このモニターに別の人生が映し出されます。あなたが円満な家庭を選んだ場合の」
僕は仕事一筋の人間だ。
自分で言うのもなんだけど、一流の大学を出て一流の会社に勤めている。
今の生活には満足しているけど、ことあるごとにあの日のことが頭によぎる。
あの時に彼女のことを選んでいたらどうなっていたんだろう、と。
「それでは流します。今のあなたの年齢までの人生をハイライト編集しているので、1時間少々で終わります」
男はそう言うと部屋から出ていった。
その後の映像は、想像通りのものだった。
低収入ながら、良い妻と2人の子供に囲まれ幸せな生活を過ごしていた。
純粋に羨ましいと思った。
終わりに近づいた時、見覚えのある部屋が映った。
大きなモニターの前で、2人の男が何やら話をしている。
「ここに映るんですね?あの時仕事を選んだ僕の人生が」
SF
公開:19/10/04 20:47

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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