節眼レンズ

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「今は反省しています(ケッ誰が反省なんかするもんか)。せめて娘の人生の節目節目を陰ながら見守ってやりたいと思っているんです(ちょっと折檻しただけで接近禁止令だとぉクソが)。そういう商品があると聞いたのですが」
「はい。血は水よりも濃いと申しますからね。娘さんの節目節目をその眼でご覧になりたいと。それでしたらこちらのセツガンレンズがぴったりです」
「接眼? それとも切願か?」
「いえ、節眼レンズともうしまして、近くの節目にこのように取り付けて覗きますと、こうして相手の部屋にある節目があなたの眼となって、先様の様子が見えるというレンズです」
「(これで住所を特定して乗り込んでやる)それはいいですね」
「ただ、邪な気持ちで使いますと切眼レンズとなって、あなたの目は一生節穴になってしまいますので、そこのところは」
「わかったわかった。ほら代金」

「おかぁーさぁーん。天井から目玉が落ちてきたぁ~」
その他
公開:19/10/05 16:45

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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