節目

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「これ買っておこう」
「また買うの?」
「だって節目だし」
母さんは何度目かわからない言葉を口にして、手にしていた商品をかごに入れた。
「いや、そうだけど……でもいくら節目だからってさ」
僕はとりあえずとめようとしてみたけれど、案の定効果はなかった。
「あ、これも、これもよくない?」
「これならうちにも似たようなのあるよ」
「だって節目なのよ? それにいくつあっても困らないし」
母さんは次々とかごを山にしていく。
理由は全部、「節目だから」。母さんと買い物に行くと、荷物が膨大に膨れ上がる。それも、たいして使わないものばかり。
「あ!!!」
突然、母さんが大きな声を上げて、なにかを指さした。指の先には、大きなログハウスの写真。まさか……。
僕はかごを見下ろした。木材や竹で作られた商品たちの何十個もの節目が、無表情に僕を見上げている。母さんは店員を呼び、笑顔で僕を振り返った。

「節目最高!」
その他
公開:19/10/05 07:30
更新:19/10/05 07:33
たぶん、こういうことじゃない。 間違った例

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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