しゅわしゅわ

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私には幼い頃から『魂』と呼ばれるものが目に見えた。
それは人間の魂は勿論、動物や虫といった、この世に生ある者すべての魂だ。今日も魂は町中で泡のように浮かんではしゅわしゅわと弾けて消える。
昔、死んだ人の魂は迎えに来た死神が運んでくれると聞かされていた。
だが実際、魂を運ぶのは虫達の役目だった。虫には未練がない。だからこそ、死ねば迷いもなくあの世へと向かうのだ。
その際、その虫を捕まえてやろうと多くの動物が後を追う。こうして動物達の魂も成仏するのだ。
では、人間の魂はどうか?未練を残さず死ぬ人間など存在しない。人の魂はみっともなくこの世にしがみつこうとする。
虫達はそんな人の魂に群がっては少しずつあの世へと運んでいく。蟻が行列を作り、蜂が蜜を集めるが如く。
私はそんな光景を昔からずっと見ていた。いつか私も、ああやって運ばれるのだろう。
一寸の虫にも五分の魂。全ての魂は五分五分の存在のようだ。
ファンタジー
公開:19/10/02 18:30

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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