「キ」が強い

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デートを重ねる事3回。隣を歩くお嬢様育ちの女友達。でも、5分後には僕の彼女になる。僕は「スキ」と告白するんだ。沈みゆく夕日がキレイ。周りには誰もいない。
「あのね」「ん⁈」女友達は僕を見る。「ス、ス、ス...」次が出てこない。緊張すると急に言葉が引っ込む。僕は必死に言葉を引きずり出そうとした。しかし、言葉の方も意地を張って口から出てこないようにしている。「ス、ス..」口周りがこわばってる。唇がスの形から動かない。唇まで言葉に加担しているようだ。思うに誤解を招く唇の形だ。“脳みそよ!なんとかしてくれ!”。全ての機能を司る大脳を責めた。ピキッ、喉元辺りで音がした。僕は喉元に力を入れる。ピキッピキッ、バリバリ!後頭部に割れる音が響き言葉が出た。
「キス」
は⁈何言った⁈僕は頭が真っ白になった。

気がついた時は星がキレイに瞬いていた。少しほっぺが痛い。唇は「ス」のままだ。
その他
公開:19/10/02 06:13

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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