無意味なカテゴリ鑑定士

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突然、人の胸元に小さなバッジが見えるようになった。
バッジと言えば所属や経歴などの身分証明をするものから、功績を表すものもある。

しかし僕の目に見えるバッジは、もっと日常的なものだ。
『この人、実はこんなことを考えていたのか』と愛おしくなる性質や秘密を表していた。


『全国三きょうだいの真ん中っ子の寂しさを埋める会』

『いつだってシクシク布団の中で悔し泣き同盟』

『野菜嫌いが一生治らなくていいと開き直りクラブ』

『遅寝遅起きで委員会』

『しゃっくり100回を超えても生き抜いた者が集うギルド』


さて僕の胸には一体何のバッジが、と確認すると『無意味なカテゴリ鑑定士』『人の秘密を詮索カラス隊』の二つがある。
人聞きの悪さにギョッとして、もっといいバッジはないか探すと――

『宝探しが下手な冒険者たち』

まるで今の僕に向けたようなバッジを見つけて、力なく肩を落としたのだった。
ファンタジー
公開:19/10/01 23:52

夏巳

Twitter@N_natsuo

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