変紳願望

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終電の発車した駅。女が階段に座り、泣いていた。ひとりの男が近寄る。

「どうしました?」

隣に腰かけた男を見やる女。背広姿の初老の紳士だ。女はこぼした。

「彼氏に…フラれたんです…」

「そうですか…。お嬢さん、ここは私に任せて」

「…えっ?」

「今の怒り、悲しみ、そういった感情を私に預けて頂きたい…。要は、フラれた彼氏だと思って、私をビンタして頂きたいーー」

「…えっ?」

立ち上がった紳士を見て女は仰天した。上半身は背広姿だが、下半身は白ブリーフ一丁だった。

「私は変態紳士。ビンタでお嬢さんの気持ちは晴れる。私の頬は腫れる。しかし、こちらにとってむしろそれは悦び…。どうでしょう?ウィンウィンの関ーー」

女の悲鳴と同時にビンタがとんだ。

逃げ去る女を見ながら、男は呟く。

「ありがとうーー」

おもむろにポケットから取り出した白ブリーフを目深に被り、男は路地裏へと消えた。
その他
公開:19/10/03 22:35
更新:19/10/03 22:36
私、Twitter上で 変態紳士の異名が…。 それでこういうことに…。 久しぶりの投稿これでええんか?

makihide00( 鳥取→東京→福岡 )

30代後半になりTwitterを開設し、ふとしたきっかけで54字の物語を書き始め、このたびこちらにもお邪魔させて頂きました。

長い話は不得手です。400字で他愛もない小噺を時々書いていければなぁと思っております。よろしくお願いします。

Twitterのほうでは54字の物語を毎日アップしております。もろもろのくだらない呟きとともに…。
https://twitter.com/makihide00

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