ドライブスルー

「なんか腹減ったなぁ。ちょっとドライブスルーしてこうぜ。お前も運転してて腹減っただろ」
「ドライブスルー？」
「お、あったあった。そこ左に曲がって、そうそうゆっくり。え～っと、何注文しようかな……って何通り過ぎてんだよ！　止まれよ！」
「いやスルーしてこうって」
「そういう意味じゃねえよ！　見ろ！　見事にスルーするから、店員さんの笑顔が行き場なくしちゃっただろ！　戻せ戻せ！」
「オエエエエェェ」
「もどすなよ！　急に何！？」
「酔った」
「いつから！？　早く言えよそういうのは！」
「夕べ飲みすぎた」
「二日酔い！？　お前何しれっと運転してんだよ！　代われ代われ！」
「すまない。ふぅ～、イソジン飲んだら少し気分が良くなったよ」
「そうか……。それうがい薬な」
「あ、電話。はい。ええ、ええ、わかりました」
「どうした？」
「急ごう。遺族の人たち、ずっと火葬場で仏さんが来るの待ってるって」