お礼はいいよ

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後ろから私の横を緑色の個体が抜いていく。抜かれた個体をよく見ると細長く流線形の「トノサマバッタ」。水を後ろ足で蹴りながら気持ち良さそうにスイースイーと水中を泳いでいる。私は危うくシュノーケルを口から吐き出しそうになったが、あまりにも無駄のない泳ぎに感動を覚えた。ここは水深5mの海の中。上を見上げると沢山のトノサマバッタが泳いでおり、緑色の身体は太陽の光にキラキラと反射して若草のようだ。トノサマバッタの大群が2つに分かれた。と思った時、海亀が口を開けてトノサマバッタを捕食した。10匹ほどの海亀が現れ、トノサマバッタの大群はいくつかの小さな塊に姿を変えて逃げる。右へ左へと地上では見たことのない機敏な動きで逃げた。コツン!と私のゴーグルに当り、気を失ったトノサマバッタ。私は手の平で優しく包み込み、海水から上がった。「助かったね、お前」とビーチで手を広げる。「キチキチ」と秋の空へ飛んで行った。
ファンタジー
公開:19/09/27 21:06

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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