薔薇の園にて

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或るとき皇帝が、國中で最も大きな庭園に一面の花園を作るやう命じられた。眞紅の薔薇の園だ。私は眞意を圖りかねたが、それに從つた。

また或るとき、皇帝が命じられた。國中に住む異敎徒を園に集めるやうにと。私は眞意を圖りかねたが、それに從つた。

異敎徒たちは招待されるがまゝ全員が集つた。花園の薔薇を長閑に愛でてゐた、そのときである。
入口の向こうから、國中の兵士がやつて來た。兵士は園の中に入ると一齊に劍を拔いた。

數多とある劍が尽く振り下ろされた。薔薇といふ薔薇の花や蕾、葉や莖が舞ひ散る。
地面は夥しい鮮血と眞紅の花瓣に滿たされてゐた。私は高臺から一部始終を目擊した。

指先から爪先に至るまで、四肢の全てと腦髓に激しい痺れを覺え、氣を失つて倒れた。
私は、皇帝からこの樣子を記錄し、克明に報告するやう命じられてゐたが、その爲に果たせなかつた。

そして氣がつくと、私は皇帝の禦前で額ずき、劍が…
その他
公開:19/09/27 14:48
更新:22/10/14 11:46
夢日記 『預言者さま』の外伝

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

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