しゅわしゅわ

温かい料理の上に鰹節が乗ると、鰹節はゆらゆらと揺れる。何で？
僕の質問にお母さんは「何でだろうね？」と首を傾げた。
翌日、僕とお母さんは魚屋さんに行った。魚屋さんなら鰹節が何で揺れるか知っているだろう。
「それはな、新鮮な鰹節は生きているからだよ」
嘘だ。そんな子供騙しが通じると思うな。
魚屋さんは木の棒を取り出して「こいつが鰹節の本体だ」と教えてくれた。
へ～、鰹節って木から取れるんだ。
魚屋さんはそれを鉋でしゅわっ！しゅわっ！と削ってく。
「こいつはな、鰹って魚のミイラでな、鰹節の状態で暖かい湯気に当ててやると魚であったことを思い出して泳ぎ出そうとするんだ」
そんなバカな…
魚屋さんはご飯の上に鰹節を乗っけた。すると鰹節はゆらゆらと揺れ始める。本当だ！
「これが水を得た魚って奴だ」
ありがとう魚屋さん！勉強になったよ。

あれから十数年後。あの魚屋にいくつか嘘を吐かれたことに気付いた。