つながる

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彼は意外と暑がり。秋でも半袖。冬はさすがに寒いらしく長袖を着るが、袖はほぼまくっている。見てるだけで寒さを感じるから「やめてほしい」と言ったけどダメだった。

冬の電車はみんな厚着してるから、少しの混み具合でもギュウギュウ。背の低い私にはつり革の高さは辛い。だから今日は彼に身体をまかせる。私の目線は彼の肩口あたり。顔を上げればいつも近くに彼の顔。この電車の混み具合ではそれも無理。あと20分くらいはこのまんま、つまらない。目線を下げる。袖をまくっている彼の腕を見つけた。混み合ってるながらも私はある作戦に出た。モゾモゾ、モゾモゾ。後ろの学生さんが押し返してくる。隣のOLさんの視線が痛い。負けじとモゾモゾ、モゾモゾ。私は左腕の袖をまくり上げた。そして、袖をまくり上げてる彼の右腕の素肌にピトッとくっつけた。ん〜この小さな幸せがたまらんなどと考えてる私の頭の上で、フフって小さな笑いが聞こえた。
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公開:19/09/28 13:29

まりたま

いつか絵本を1冊出せたら...
そう思いながら書いてます。
少しだけホッコリしていただければ嬉しいです。
でも、たまにブラックも書きますけど。

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