過保護美味

最近は便利になったもんだ。実際の食材がなくてもネット上でデータを組み合わせて作ったマカロンを、ボタン一つで具現化して食べられるようになったんだから。

でも、うちの子には作らせない。失敗して不味いものを作ってしまったらかわいそうだもの。
端末に私が作ったマカロンのデータを保存しておき、それをコピーペーストしたもの以外は具現化させないことにしている。
これなら確実に美味しいものが食べられるし、失敗して落ち込むこともない。
子どもが傷つかないよう守るのが親の役割だ。
でも何故か、うちの子最近悲しそう。

今日、近所の子に自作のマカロンをもらった。
食べてみて思わず顔をしかめた。
不味い。こんな小さい子に作らせるなんて。この子もこんな失敗して落ち込んでるんじゃ…あれ?

色々な材料を組み合わせて不味いマカロンを作り続けるその表情は笑顔だった。
最近うちの子がしない、楽しそうな笑顔だった。