彼女にお願い

3
6

彼女は料理が好きだ。僕は彼女の料理を食べることが好きだ。
彼女の料理は何だって美味しい。僕は彼女の作ってくれるものならなんだって平らげる自信があった。レバニラ炒めを除けば…
いや、僕はレバニラ炒めが嫌いなわけじゃない。むしろ大好きだ。
じゃあ、何でレバニラ炒めだけ拒否するのかって?
それは昔、とある店で食べたレバニラ炒めが人生の中で最もおいしかった料理だからだ。
僕の中でレバニラ炒めと言えば、あのレバニラ炒め以外認めない。今でも僕はその店の常連だ。
だからこそ、ただ美味しいだけの彼女のレバニラ炒めでは満足できない。
それどころか、その差を味わえば味わう程、彼女のレバニラ炒めが嫌になって来る。
それを言えば彼女は怒る。当然だ。
だから僕は今日も進言する。
「今日もニラは売り切れみたいだね。他の料理にしようよ」
嘘である。僕が店に頼んで隠してもらったのだ。
ああ…頼むから、ニラみつけないで!
公開:19/09/23 20:29

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容