秋の油蝉の
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ジーッ、ジーッ。
ああ、五月蝿い。もう九月も終わるって言うのにまだ蝉が鳴いてら。
しかもこの鳴き声は油蝉か。私は蝉が嫌いなんだ。殊更油蝉が特に。あの茶色と黒のコントラストが正に虫らしくてゾッとする。
生きてる命に文句を言うのも気が引けるが、旬が過ぎてもまだ居着かれちゃ一言二言文句も言いたくなる。
「おい!お前は暦が分からんのか!?それとも世の約束事を反故にする気なのか!?」
怒鳴れば蝉は一時鳴くのを止めた。併し、今度はその代わりにとばかりにその背中から寂しげな哀愁を五月蝿く漂わせてきた。
「厭な奴だね」
「へい、勘弁してくだされば。どうかお目こぼしを」
「もう九月も終わる。仲間も還った。お前も静かにしたらどうなんだい?」
ジジッと短く鳴くと、蝉は地に落ち空を見上げた。
「勘弁を。今年はうっかり寝坊したが為に子孫も残せず終わるのみ。どうか最後と勘弁を」
蝉は悲しげに泣いた。
ああ、五月蝿い。もう九月も終わるって言うのにまだ蝉が鳴いてら。
しかもこの鳴き声は油蝉か。私は蝉が嫌いなんだ。殊更油蝉が特に。あの茶色と黒のコントラストが正に虫らしくてゾッとする。
生きてる命に文句を言うのも気が引けるが、旬が過ぎてもまだ居着かれちゃ一言二言文句も言いたくなる。
「おい!お前は暦が分からんのか!?それとも世の約束事を反故にする気なのか!?」
怒鳴れば蝉は一時鳴くのを止めた。併し、今度はその代わりにとばかりにその背中から寂しげな哀愁を五月蝿く漂わせてきた。
「厭な奴だね」
「へい、勘弁してくだされば。どうかお目こぼしを」
「もう九月も終わる。仲間も還った。お前も静かにしたらどうなんだい?」
ジジッと短く鳴くと、蝉は地に落ち空を見上げた。
「勘弁を。今年はうっかり寝坊したが為に子孫も残せず終わるのみ。どうか最後と勘弁を」
蝉は悲しげに泣いた。
その他
公開:19/09/26 16:06
昔から本が好きで、いつか自分も書きたいと思い描きながらも中々完成せずの日々。
とにかく完成させることを第一の目標にして、まずはショートショートに挑戦してみることにしました。
ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。
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