決闘
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見渡す限りの草原で私は野牛の群れが行き過ぎるのを待っていた。
エンジンを切った車の中でこの先の困難を思い、味のないガムを持て余して吐きだす。
終わりの見えないこの草原のどこかに闘いの場所はある。一刻も早くたどり着きたいが、牛にストレスを与えないように私は息をひそめた。
飼い犬のアゼルバイジャンが何者かにさらわれてもう10日になる。草笛のような風の中にアイツの遠吠えを聞いた気がして、涙が頬を伝う。
犯人のくだらないツイッターとインスタグラムに毎日いいねを強要される日々は、味のしみたイカめしみたいな自尊心がぬるま湯で味を抜かれてゆくように虚しくて、私は犯人に「決闘したい」とメッセージを送った。
陽が落ちれば氷点下にもなる草原。ガソリンが尽きれば私の命も危ないだろう。
「今どの辺?」
「牛辺り」
「どの牛よ?」
「茶色とか黒とか」
叩きのめしたいが、今は人恋しくて犯人を抱きしめてしまいそうだ。
エンジンを切った車の中でこの先の困難を思い、味のないガムを持て余して吐きだす。
終わりの見えないこの草原のどこかに闘いの場所はある。一刻も早くたどり着きたいが、牛にストレスを与えないように私は息をひそめた。
飼い犬のアゼルバイジャンが何者かにさらわれてもう10日になる。草笛のような風の中にアイツの遠吠えを聞いた気がして、涙が頬を伝う。
犯人のくだらないツイッターとインスタグラムに毎日いいねを強要される日々は、味のしみたイカめしみたいな自尊心がぬるま湯で味を抜かれてゆくように虚しくて、私は犯人に「決闘したい」とメッセージを送った。
陽が落ちれば氷点下にもなる草原。ガソリンが尽きれば私の命も危ないだろう。
「今どの辺?」
「牛辺り」
「どの牛よ?」
「茶色とか黒とか」
叩きのめしたいが、今は人恋しくて犯人を抱きしめてしまいそうだ。
公開:19/09/25 09:50
更新:19/09/25 09:52
更新:19/09/25 09:52
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