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僕が幼かった、ある日。
近所の友達のひとりが突然、姿を見せなくなった。
「どうして遊べなくなったの?」--母に尋ねても答えてくれない。
いや、どうにか説明しようとしたのだろう。
でも、僕にはまだ難しくて理解できなかった。
母は、同じ社宅に住む人たちと立ち話をするのが好きだった。
その側にはいつも、手を取って立っている僕。することが何もない。
大人の話を黙って聞いて、意味の分かる言葉だけを拾っていた。
「あの家のお子さん、お気の毒に」
「不注意だったのね。よりによって、頭なんて」
「ご主人が庭で振ったときに、ねえ」
「そのあと、川に投げ捨てたんですってね」
「ゴルフのクラブを、全部」
ゴルフのクラブとはどのような物なのか、小学生になってから僕はようやく知る。
そのとき、すべて理解した。その子がどうして、ある日を境に姿を消したのか。
もう僕は、その子の名前を思い出せなくなっていた…。
近所の友達のひとりが突然、姿を見せなくなった。
「どうして遊べなくなったの?」--母に尋ねても答えてくれない。
いや、どうにか説明しようとしたのだろう。
でも、僕にはまだ難しくて理解できなかった。
母は、同じ社宅に住む人たちと立ち話をするのが好きだった。
その側にはいつも、手を取って立っている僕。することが何もない。
大人の話を黙って聞いて、意味の分かる言葉だけを拾っていた。
「あの家のお子さん、お気の毒に」
「不注意だったのね。よりによって、頭なんて」
「ご主人が庭で振ったときに、ねえ」
「そのあと、川に投げ捨てたんですってね」
「ゴルフのクラブを、全部」
ゴルフのクラブとはどのような物なのか、小学生になってから僕はようやく知る。
そのとき、すべて理解した。その子がどうして、ある日を境に姿を消したのか。
もう僕は、その子の名前を思い出せなくなっていた…。
その他
公開:19/09/21 22:12
更新:19/10/26 23:30
更新:19/10/26 23:30
2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
どうぞ宜しく…。
ちなみに、写真は一部を除き、全て自分で撮影したものです。併せてお楽しみ下さい。
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現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
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