いつものこの道の傾斜

今日は、いつものこの道の傾斜がやけに負担だ。息苦しい。
何かにつっかえたように足がうまく上がらない。
一歩、次の一歩の繰り返しに違和感がある。
昨日と違う。もどかしい。

今日は、いつものこの道の傾斜と足の間に摩擦がないみたいだ。思わず走りたくなる。
無重力空間にいるかのようにするする足が回る。
もっと遠くへ。永遠に進んでいけるような気がする。
昨日と違う。清々しい。

いつもの道の傾斜。
まるで情緒ある生き物みたいだ。

あるときは、私が毎日踏みしめることに怒って、過酷な傾斜になる。
またあるときは、機嫌をとるかのように、中毒性を感じるほどの爽快な傾斜になる。

私はこの道に翻弄されているみたいに気分が変わる。
イライラしたり、ワクワクしたり。
この道の思う壺だ。

でも、本当にそうなのかな。

いつものこの道の傾斜と私の気分。
「鶏が先か、卵が先か。」
この問題によく似ている気がする。