幼い煙

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壁の黄ばみ、衣服の臭い。

「ねぇたばこやめてってば」
たばこなんて大嫌いだった。
何回伝えたかなんて覚えていない。
ただ、ダメ女だった私は
それでもそんなあなたの側にいたかったんだ。

「たばこ吸ってる時が一番幸せなんだよ」
当時はため息で済ましていたその言葉も今ではちょっとだけ理解できるかもしれない。

決して好きではない、できれば近付きたくはない。
でもこの匂いを感じているときだけは、あなたがそこにいる。

灰になっても煙になってもあなたが側にいてくれる。
それだけで救われるんだよ。

「たばこなんて似合わないよ」
あなたはそう言うかもね。
でもいいの。

これが、これからの私を支えるの。
夜風に揺れるレースのカーテン。
慣れない手つき、薄く少ない煙。
「あなたみたいに上手に吸えないな」

風に揺られタバコの煙が目に沁みる。
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公開:19/09/23 09:09

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