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まるで、雨の花束だと思った。
両腕を目一杯広げても、抱えきれないくらい。紅い花に、連なった葉の一つ一つに、頭上から枝垂れて降り注ぐ放物線に、俺達を足留めした時雨が閉じ込められてる。
合計何リットルだと思う?お前が訊くから、計算してやろうか?真面目に答えたら、夢のない奴だと睨まれた。すぐ数字を振り翳すのは、理系の悪い癖だそうだ。だったらどう答えればいい?訊き返せば今度は、自分で考えてと切り返すんだろう。他の何で勝っても、結局全然勝てた気がしない。
しげしげ眺めてたら、顔面に土砂降り。お返しの放水。雨宿りの意味がないくらい、両側から押し合って、ほとんど濡れ鼠で笑って、鼻の頭に花くっ付けて。
透けたブラウスに視線を逸らす。
寒くなっちゃった。貼り付いたスカートが小走りする。上がって乾かせよと誘うには、片道300mは近過ぎて。
15年分育った萩の花影に、俺達の距離は、あの遠い約束から停滞したまま。
両腕を目一杯広げても、抱えきれないくらい。紅い花に、連なった葉の一つ一つに、頭上から枝垂れて降り注ぐ放物線に、俺達を足留めした時雨が閉じ込められてる。
合計何リットルだと思う?お前が訊くから、計算してやろうか?真面目に答えたら、夢のない奴だと睨まれた。すぐ数字を振り翳すのは、理系の悪い癖だそうだ。だったらどう答えればいい?訊き返せば今度は、自分で考えてと切り返すんだろう。他の何で勝っても、結局全然勝てた気がしない。
しげしげ眺めてたら、顔面に土砂降り。お返しの放水。雨宿りの意味がないくらい、両側から押し合って、ほとんど濡れ鼠で笑って、鼻の頭に花くっ付けて。
透けたブラウスに視線を逸らす。
寒くなっちゃった。貼り付いたスカートが小走りする。上がって乾かせよと誘うには、片道300mは近過ぎて。
15年分育った萩の花影に、俺達の距離は、あの遠い約束から停滞したまま。
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公開:19/09/22 20:22
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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