内容量

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 彼が余ってきた。私がモテるってことじゃなくて。私のたった一人の彼が余ってきたの。え? それじゃ伝わらない。って、彼からの駄目出し。
 彼の皮が余ってきたのだ。え? それじゃ下ネタみたいだし、そこは余ってない? 分かったよ。科学的に説明すればいいんでしょ。
 彼の体重は73kg。人間をほぼ水だと仮定すれば、その体積は73リットル。だから、彼は73リットルの皮袋といえます。
 ある日彼は、長いオナラをしました。無音無臭だけど近づけた蝋燭の炎が消えるほどの勢いで一昼夜。すると、彼の先端部分で皮が余るようになりました。つまり、内容量が減っちゃったみたいなの。
「俺はガスの上げ底野郎だったのかよ」
 って、フニャフニャのブーラブラの指でポテチをつまみながら、今もイライラしてます。まさに、ポテチ袋野郎ですね。
 私としては、彼がオナラを我慢するようになったのが、ちょっとラッキーかなって思ってます。
その他
公開:19/09/18 15:42

新出既出

星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。

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