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ある日、僕の目の前に見知らぬ男が現れた。黒いマントのようなコートを羽織りフードの様なものを頭に被った見るからに怪しい男だ。
男は挨拶もなく突然、
「お前の命の価値は幾らだ?」
と威圧的に問いかけてきた。僕がたじろいでいると、男は返答を待たず話を続けた。
「お前はお前自身の人生に価値を見出せずにいる。無意味に過ぎていく時間に苦痛すら感じている。だから終わることを望んでいる。」
今度は問いではなく、断定的な言い方だった。それはまさしく図星だったが、恐怖のあまり僕は何も答えることはできなかった。
男は更に続ける。
「ただお前は心の何処かで別の人生、生まれ変わることを望んでいる。違うか?」
僕は初めて反応を示した。思わず頷いてしまった。
「自惚れるな!。」男が語気を強めて言った。
「お前の無価値な人生に新しく生まれ変わる価値なんぞないわ。お前の命の価値は軽い。罰だ。100年の寿命をくれてやる。」
SF
公開:19/09/18 12:58

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