親爺さんの奇策
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店の片隅で、蕎麦を一口啜っては小さく溜め息を吐いている男客がいた。その景気の悪さに店主は思わず声をかけた。
「旦那、うちの蕎麦がお気に召しませんで?」
「いいや、いいや。親爺さんの蕎麦は美味いに決まってる」
「したらどうなすったんで?」
「ちと最近、気を揉むことがあってな」
男の溜め息の理由は、近頃田畑を荒らす狐狸の奴等が原因だった。ずる賢い獣は案山子に騙されず、張った罠はひょいと避ける。いよいよ出るのは溜め息ばかりという経緯らしい。
その話を聞いた蕎麦屋の親爺は「妙案が……」と男に耳打ちをすると、男は怪訝な顔をしながらも、店主の言う策に乗ってみることにした。
「親爺さん!あんたのお陰で助かった!」
あれから一週間が過ぎた蕎麦屋に男の声が響いた。どうやら策は上手く行ったようだった。
「なに、大したことありやせんて」
親爺は新しく書き直した品書きを壁にかけ直して笑った。
「旦那、うちの蕎麦がお気に召しませんで?」
「いいや、いいや。親爺さんの蕎麦は美味いに決まってる」
「したらどうなすったんで?」
「ちと最近、気を揉むことがあってな」
男の溜め息の理由は、近頃田畑を荒らす狐狸の奴等が原因だった。ずる賢い獣は案山子に騙されず、張った罠はひょいと避ける。いよいよ出るのは溜め息ばかりという経緯らしい。
その話を聞いた蕎麦屋の親爺は「妙案が……」と男に耳打ちをすると、男は怪訝な顔をしながらも、店主の言う策に乗ってみることにした。
「親爺さん!あんたのお陰で助かった!」
あれから一週間が過ぎた蕎麦屋に男の声が響いた。どうやら策は上手く行ったようだった。
「なに、大したことありやせんて」
親爺は新しく書き直した品書きを壁にかけ直して笑った。
ファンタジー
公開:19/09/20 10:12
更新:19/09/20 15:06
更新:19/09/20 15:06
昔から本が好きで、いつか自分も書きたいと思い描きながらも中々完成せずの日々。
とにかく完成させることを第一の目標にして、まずはショートショートに挑戦してみることにしました。
ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。
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