真夜中のティータイム

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 月さえも寝静まる頃、そっと食器棚からマグカップをふたつ取り出す。今夜のティータイムはいつもより特別。
 温めておいたティーポットとマグカップ。ポットに茶葉を入れ、沸騰直後のお湯を注ぐ。すぐに蓋をして3〜4分蒸らす。蒸らし終えたら、茶こしで茶ガラをこして、濃さが均一になるようにまわし注ぐ。



 「はい、お待たせ」
 そう言って、渡すマグカップ。
 「飲んでみて、今宵の紅茶は特別なの!」
ひとくち、彼は紅茶を飲み、驚いた顔で私を見る。
 「この紅茶ね、煌めくお茶って書いて、“煌茶”って言うの。お茶をいれた人のワクワクとかトキメキとかが飲んだ人に伝わって…“キラキラ”した心を分かち合えるらしいの!!!」

 真夜中のふたりのティータイム。
 マグカップに注ぐのが、コーヒーであっても、紅茶であっても…特別な“煌茶”であっても変わらないものがある。
 それはね、貴方に捧ぐ恋心。
恋愛
公開:19/09/19 23:33
更新:20/10/19 12:44
煌茶をいれている時間は 飲んでもらいたい人を 想う時間 煌茶と書いて こうちゃ、と読みます

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人1年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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