猫と椅子

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私はアンティーク椅子。とても頑丈で気品溢れる椅子である。
そんな私を最後に愛用した人は余生をゆっくり過ごす老婦人だった。
老婦人の膝の上にはいつも猫がいた。私は猫が嫌いだ。私の価値が分かっていない。
しかしその猫ときたら老婦人がいない間も私に座って来るではないか。猫の分際で私の良さが分かるとは見所がある奴だ。お前とは友になってやる。
友とは十年程の付き合いだ。百年以上生きる私にとって、一瞬の出来事である。
だが、私は友の事を生涯忘れないだろう。
老婦人が亡くなり、私は無残にも捨てられることが決まった。
そんな私を友が仲間を引き連れて助けてくれた。いつも寝てばかりだが実は凄い奴だったんだな。
寡黙な友は猫の隠れ家に私を運び込むと、老婦人と同じように私の上で静かに息を引き取った。
以来、猫達の間で私は玉座と呼ばれている。
当たり前だ。友のように素晴らしき猫でなければ、私に座ることは許さない。
公開:19/09/15 18:55

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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