猫マンマ

家の庭に何処からか茶猫が現れる。
魚を焼くと換気扇からの匂いに敏感に反応し様子伺いに来るようだ。
台所の窓から気配が感じられ、覗くと待っているようだが、音がすると居なくなる。

食事をしていると猫の顔が蘇り、この身の部分は少し残しておこう、皮の部分は皮膚の強化に良いから食べるようにと医者から言われたが、残してやろうとか考えてしまう。

美味しいペットフードの全盛期に、昭和猫の如き食べ残しを期待して訪問するなんて、とても愛らしい。
食事後にそっと庭の片隅に置くと、暫くすると現れて美味しそうにゴロゴロと言いながら食べてくれる。

その後前足で口の周りに付いたエキスを舐めるように、顔を洗うが毎きの仕草には嬉しくなってしまう。
これ見たさに、今日も食事に焼き魚を頼もかなと思っていると、妻が魚ばかり食べているとそのうちに猫になってしまうよと言った。

翌朝目が覚めると「ニャー」としか言えなかった。