花の子ちゃん…その後(4)

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(承前)
「花の子ちゃぁーん」
部屋の向こうまで届く声で呼んでみたけれども、返事は何もない。ベッドの方へ見に行っても、誰もいる様子はなかった。

ただ、薄暗い部屋の真っ白なシーツの上に、赤い花びらが一枚だけ落ちていた。
周囲には、同じ形をした色とりどりの種が何粒も。
きっと、花の子ちゃんがこれを置いたんだ。それをひとつひとつ摘んで、僕は手のひらにのせた。
その瞬間、どこかからか「はーい」という、あのくりんと笑ったときの元気な声が聞こえた。
ハッとして顔を上げ、僕は思わず振り向いた。
黄みどり色のレースのカーテンが、ただ、風に揺れている。ふわり、ふわりと、まるで浜辺の波が寄せては返すみたいに。

僕のほかには、もうだれも、いないようだった。 (了)
ファンタジー
公開:19/09/14 23:47
更新:19/09/15 00:14
花の子ちゃん

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や余韻が残る作品を目指しています。
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