花の子ちゃん…その後(3)

0
7

(承前)
「今夜は、いつもよりずっと、月が綺麗だね」
僕がそう言うと、花の子ちゃんは「うん…」と返事をして、僕の手を握った。
小さな手だった。
大人の女性と同じくらいに背が高くなっても、手は小さく可愛らしいままだった。
その手が、ますます小さく感じられた、そのとき。
「きっとまた、会えるから、ね」
そう言い残して、花の子ちゃんは月明かりの中、少しずつ姿を消していった。
まるで、白く冷たい光の中にすーっと溶けゆくみたいに。静かに、そっと。

ベランダに集まっていたすずめの鳴き声で、僕は目を覚ました。毎朝ここからパンくずを投げてやっていたからだ。
リビングでずっと眠っていたらしい。どこまでが夢で、どこからが現実なのか……。(つづく)
ファンタジー
公開:19/09/14 23:41
更新:19/09/15 00:13
花の子ちゃん

白ねこのため息( あちらこちらにいます )

2019年9月14日から参加いたしました。
しみじみとした後味や不思議な余韻が残る作品を目指しています。
どうぞ宜しく…。
ちなみに、写真は一部を除き、全て自分で撮影したものです。併せてお楽しみ下さい。

【お気軽に各作品の黄色い★をポチって頂けましたら嬉しいです】
☆ブログも更新中。「カツブロ  白ねこのため息」で検索〜‼︎☆
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在、資格取得(英検1級など)の勉強中のため、投稿ペースが落ちていますが、
これからも引き続きご愛顧のほど、何とぞ宜しくお願いいたします。ペコリ。
 

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容