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 お日様も寝入り始めた暮れ六つ。河原を、悪戯に砂利を鳴らしながら散歩する男女がいた。特に男の方は何やら決意しながらも気弱な性分なため、女に告げたい言葉も告げられずにもじもじと石を蹴っていた。
「なんだいあんた。さっきから変だよ」
「うるせえ。変なもんか」
「じゃあなんでそんな態度なのよ。言いたいことがあるならはっきり言っておくれよ。気味が悪い」
 女にそこまで言われては男が廃る。だがしかし、なんと告げたものか。
 天を見上げ悩む男の目に、きらりと光る一番星が見えた。
 妙案得たり。男は女の前に居直ると、そこいら中の空気を吸って、それを言葉と共に吐き出した。
「ほっほしが落ちてきたら!おいらの嫁になってくんねぇか!」
「星?星が落ちたらだって?」
 星なんか落ちるもんか。嫁にはいけないじゃないか。恨めしげに男を見遣ると、男はその場で大きく跳び跳ねて落ちてきた。

 落ちた男の名前は星だった。
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公開:19/09/12 22:42

トウヒ・ゲンカイ

昔から本が好きで、いつか自分も書きたいと思い描きながらも中々完成せずの日々。
とにかく完成させることを第一の目標にして、まずはショートショートに挑戦してみることにしました。
ご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。

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