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満月の夜、俺は衝動を抑えきれなくなる。手にナイフを持ち、獲物を探す。
今迄は山で動物を狩っていたが、それではもう満足出来なくなった。
だから今日はついに人間をターゲットにすることにした。
おあつらえ向きに女が一人で歩いてやがる。
女は俺の狩場である山に入っていく。こんな夜更けに森に何の用だと思うところはあるものの、俺は好都合だと女を追った。
女が足を止めた。そして振り返り、俺を見つめる。
「きれいな満月ね」
女の言葉に俺は「そうだな」と素っ気なく返事をし、手に持ったナイフを女に見せつけた。
それでも女は動じることなく言った。
「満月の夜、私は衝動が抑えられなくなるの。だから、ごめんなさいね」
目の前から女の姿が消えた。同時に俺は巨大な狼に押し倒されていた。
狼の口から涎と共に出た「いただきます」という女の声。
それが俺が最後に耳にした言葉だった。
ホラー
公開:19/09/14 18:26

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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