ツムオの長い1日

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大勢の人で賑わう休日の駅前。ツムオはドキドキしながらロミ先生を待っていた。
「ショッピングに付き合っていただけませんか?」
急なお誘いだったが、ツムオは二つ返事でOKした。
ただの荷物持ちとはいえ、2人きりでお出かけに変わりはない。これはもう、完全にデートだ。そうに違いない。
ドキドキしていたのは、上着の下に、両胸に穴の開いたTシャツを着ていたためでもある。
何も知らずに通り過ぎる人々を眺めながら、ツムオはこの上ない緊張感と心地よい興奮に震えていた。
「ミカ先生」
ロミ先生がタピオカジュースを片手にやってきた。ツムオの緊張はピークに達した。
「それじゃ行きましょうか、ミカ先生」
「へ? あ、はい。えっと、どこへ行くんですか?」
「服を見に行きましょう」
「らじゃ」
ロミ先生がクスッと笑った。
「素敵な服を選んで差し上げますね、ミカ先生」
「いやぁ、ロミ先生に選んでもらえるなんて……え?」
その他
公開:19/09/14 18:12

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