にんじん

僕は毎日夜空を見上げている。晴れの日は勿論、曇りや雨、雪や嵐の日だって夜空を見上げている。
僕は空を見上げる事が好きだ。特に夜空は季節によって見え方が変わる。今では星座盤なしで星を語ることが出来る。
ある日、僕を是非とも雇いたいという会社が現れた。僕はその会社に就職した。そして今日も夜空を見上げている。
この仕事は中々に根性がいる仕事でね。ずっと夜空を見上げてなきゃいけないんだ。
何でって？そりゃ、空の異変を逸早く解決するためだよ。
一般には知られていないが空に浮かぶお月様、あれはサボり癖のある月の兎のせいで時々ボロが出るんだ。
そんな落ち度を確認し、すぐに伝えるのが僕の仕事である。
そして、たまに月から足を滑らした兎が空から降ってくる。それをキャッチするのも僕の仕事だ。
夜空をずっと見上げていられるなんて最高の仕事だ。
ちなみに僕のような人のことを忍ぶ人と書いて「にんじん」と呼ぶそうだ。