ジェイソンに憧れた男

幼い頃、俺は１３日の金曜日という映画を見て衝撃を受けた。
そこには俺がいた。いじめられ、殺されそうになったことのある俺がいた。
俺はジェイソンに憧れた。彼と同じように森で強くなることを決めた。
森は弱肉強食の世界。強者のみが生きることを許される。そこで俺はジェイソンのように己を鍛え上げた。
強くなった俺は意味も目的もなく人殺しを行う決意をした。
そんな俺を止めたのがボスだった。
「人に恐怖を与えたいのならとっておきの場所を与えてやろう」
俺はボスに誘われるがままプロレスの世界に入った。
『画面から飛び出したモンスター・１３日の金曜日ジェイソン！』
俺の名を聞き、観客は勿論対戦相手も慄く。
俺は悪役レスラー。勝つためならどんな手だって使う。
俺はリアルジェイソンと恐れられた。
そんな俺も寄る年波には勝てず引退を決意した。
今どうしているかと言うと故郷で後輩レスラーの為にマスクを作っているよ。